「平均値」正しいけれど、意味はない。判断するためグラフ化おすすめ!

「平均値」正しいけれど、意味はない。判断するためグラフ化おすすめ!

日経平均株価は2万円台に乗りましたが、皆さんの周りでの実体経済の動きはどうでしょう?あまり景気のいい話を聞かないのは私の周りだけでしょうか??

それにしても、会社の実績が不調であれば追加施策をすぐ出せ!となるでしょうし、好調なら好調なりに今のうちに積み上げる企画を出せ!、といった具合に営業や企画担当者の方は常々頭の痛い日々が続きますよね。

で、いろんな統計データや販売実績をもとに、渾身の販促企画を立ててみたんだけど、上司からこの試算の元となっている平均値は正しいのか?と突き返されて、残業しながら悩んでいる方いませんか?

今日はそんなお悩みを持つあなたに、基礎的なデータ分析において押さえるべきポイントについてお伝えします。

平均は、計算の結果としては正しいけど、判断できる意味そのものは持っていないことに気づく

突然ですが、あなたは今から書店の企画担当者です。

月例会議の際に、店長からこんな数字が示されたとします。

「日本人の平均読書冊数は、月に1.6

日本人の平均読書冊数という直接的なデータは見つけることができませんでしたが、2つの統計データを見つけることができました。

総務省による家計調査報告(2013年度実績)より、
書籍・他の印刷物の総世帯平均支出月額は、3,557

新文化 「出版統計小事典」(2013年実績)より、
書籍の平均単価は、2,178

ということで、日本人の平均読書冊数は、①÷②より、月に1.6、となりますね。

ちなみに、2012年の同実績では、支出額3,637÷平均単価2,278円=1.6
買い上げ点数はほぼ変わっていないので、平均単価の下落や電子書籍化が支出額の減少につながっているんですかね?

で、あなたは書店の企画担当者でしたね。

書籍業界は年々売上が右肩下がりで落ち込んでいる訳ですから、あなたの書店も例に違わず売上状況は良いとはいえません。店長からは売上アップにつながる販促企画を提案するように、つつかれています。

さて、この1.6という数字を聞いたあなたは、どんなアクションを起こしますか?

例えば、

ざっと月平均2冊だとして、あと1冊買ってくれるように仕掛けたいな。
よし、3冊購入で、くじが引けて景品が当たるキャンペーンを行って、もう1冊をついで買いしてもらおう!
とか、
3冊購入で、ポイント3倍キャンペーンにしよう!
いやいや、
併設の文具売り場とタイアップ企画にして、書籍3冊+文具同時購入で、文具を30%ディスカウントしよう!

なんて考えてしまったとしたらダメですよ!

あなたは平均教の教えにすっかり毒されているようです。

考えてみてください。

あなたの周りの人は、みんな、読書を1.6 していますか?

読書家と言われる人もいれば、漫画しか読まない主義の人もいる、そういった人達をひっくるめた平均ってどんな意味があるのでしょうか?

この平均の1.6という数字は、計算としては正しいでしょう。

しかし、全体の中でどういう位置づけなのか?

それがわかって初めて判断するに価する意味を持つことができるのです。

平均値そのものは、何の意味ももっていないことを理解しておきましょう。

ここで、別の統計データを紹介しましょう。

文化庁による、平成25年度「国語に関する世論調査」の結果の概要 で、「1か月に読む本の冊数について」という調査項目です。

表1がその結果です。
公表されていたのは項目bの人数比率だけですが、n=2,028という分母も公表されてますので、他の項目は計算式ではじき出したものです。

表1)1ヶ月に何冊本を読んでいるかhttp://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/kokugo_yoronchosa/pdf/h25_chosa_kekka.pdf

なーんと、「読まない」人の割合が47.5%

二人に一人はそもそも本を「読まない」んですよ。

平均1.6冊≒2冊を+1冊してもらおう!という企画では、最初から一番のボリュームゾーンである半数を占める「読まない」人にハードルが高すぎると思いませんか?

そもそもまずは足を運んでもらう企画の方が必要ですよね。

さらに、表1の項目hの支出額比率にも着目してみると、

購入冊数別の支出額比率では、「12冊」購入者は36%足らず。それよりも、もともと3冊以上の購入者の売上構成比が63%もある訳ですから、この人達に対するアクションの方がより重要だし、効果的ですよね!

と、

ここまで語ってきましたが、

クロス集計表の数字と言葉じゃわからん!さっぱり頭に入ってこない。。。

と思いませんか?

そう思ったあなたは正しい!

数字はグラフで語るべし

先ほどの表1をグラフ化してみましょう。

図1)1ヶ月に何冊本を読んでいるかrr

半数が「読まない」で、「1、2冊」は1/3しかいないんだね。平均1.6冊で試算しても意味なさそうだな…

図2)購入冊数別の支出額合計比率

3冊以上の人達の支出額が63%もあるわけだから、こちらを伸ばしたほうがインパクトは大きそうだな…

といったことが、グラフを見て目に入ってきますよね?

これが平均の数字の意味を明確にするために必要なプロセスです。

1.6冊」という平均値に引きずられて企画を立てると大失敗することが明白ですね。

数字はこうやって「見える化」することが、「判断」する上で重要なポイントとなります。

数字は、平均値だけで判断しない&グラフ化すると意味付けを行いやすい

みなさんも、数字をいじったら、クロス集計で平均値を出して満足して終わるのではなく、

ポイントとなる項目をグラフ化することで全体を見渡して、その平均値の意味があるものなのか確認するクセ付けを行いましょう。

そうすれば外れな企画を立てることを避けることができますよ。

 


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